小説家・高橋 由太の時代小説。
宮本武蔵の弟子・伊織は「白狐」と化してしまった弟を人間の姿に戻すため、手がかり求めてひた走る。襲い来る物のもののけたちを妖刀村雨でメッタ斬り!弟を元に戻すことはできるのか?
「もののけ」という言葉につられて読み始め、一気読みしてしまった 高橋 由太の「もののけ、ぞろり」シリーズを紹介したいと思います。
「もののけ、ぞろり」とは
第1巻の舞台は「大阪夏の陣」。
1600年の「関ケ原の戦い」から15年後の1615年です。
「白狐」となってしまった弟を元に戻すための手がかりを求めて辿り着いたのが、夏の陣の大阪城だったと。
もちろん家康も出てきますし、真田幸村も出てきます。
ただ、登場人物の設定がおもしろい。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、幸村は予想のナナメ上をいってます。
ちょっと変わってはいますが、きちんと芯に「武士」を感じます。
自分はゲームが好きなので、幸村といえば戦国無双の「真っすぐで熱血漢」なイメージを思い浮かべてしまうわけですが、「もののけ、ぞろり」の幸村もこれはこれでありかもしれません。
「もののけ、ぞろり」を2巻、3巻と読み進めていくにつれて、実はこっちだったのかもしれないと幸村の新たな可能性に気づかされます。
そんな感じで「もののけ、ぞろり」シリーズは史実に絶妙に組み合わさった改変というかファンタジー感が面白い。
面白かったので、1日1冊ペースで一気読みしました。
「もののけ、ぞろり」全6巻
それぞれの本のタイトルは
- もののけ、ぞろり
- もののけ、ぞろり お江戸うろうろ
- もののけ、ぞろり 大奥わらわら
- もののけ、ぞろり 東海道どろろん
- もののけ、ぞろり 吉原すってんころり
- もののけ、ぞろり 巌流島くるりん
タイトルからどのあたりが舞台になってるのか想像つきますね。
主人公が宮本武蔵の弟子・伊織ですから、やっぱり最後は巌流島です。
バトル多めで流血多め
時代背景が江戸ですから、刀での斬り合いの場面は当然出てきます。
主人公の伊織は剣士ですし、この時代は鉄砲だってありますから、なかなか厳しめのバトルが展開します。
そこに、忍びやら、陰陽師やら、術つかいも加わって毎回かなり熱い展開です。
とはいえ、緊迫した中にもクスッとするようなやり取りがある。
とにかく、引き込まれました。
時代背景の説明が上手い
物語中にさらりと時代背景の説明が入ってるのですが、それが良い。
私は時代劇をよく見ていたので、江戸の市井なんかはそれなりに知識としてありますが、歴史のほうは結構弱いので、小説中に説明が入っていてありがたかったです。
一番印象に残ってるのは「慶安の御触書」で豆腐が贅沢品の一つに数えられて、百姓が作るのを禁止されたという話。
豆腐作るの禁止ってウソだろっ!て思って調べたら本当だったという…
トンデモ御触書だな…
登場人物が濃い
善人から悪人まで、どの人も濃い、濃ゆい。
どのキャラクターも魅力的なんですけど、私は陰陽師の「御堂ユキ」が結構好み。
丁寧な言葉で罵るとか最高すぎる。
あと十二単着てるって言うけど、あれ20キロぐらいあるらしいですね。
普段着感覚で十二単着るとか、只者ではない。
まとめ
というわけで、高橋 由太さんの「もののけ、ぞろり」の紹介でした。
この記事中でもののけの話はしてないんですけど、小説中にはしっかり出てきます。しかもたくさん。
もののけとか妖怪好きな方にもオススメです。
「もののけ、ぞろり」シリーズは全6巻。完結済みなので一気読みもオススメです!
「もののけ、ぞろり」
著者:高橋 由太
出版社:株式会社 新潮社
分類:時代小説
出版日:2012年10月29日